eSIMとは?
eSIMとは、SIMが端末に埋め込まれた新しい規格のSIMです※1。そもそもSIMとは契約者情報を記録したもので、これを電話番号と結びつけることで通信や通話をできるようにするものです。従来のSIMは端末とは別のカードになっていて、これを端末に差し込んで利用します。
- ※1 SIMカード(eSIM)

一方、eSIMは埋め込み型のSIMであり、あらかじめ端末自体に小さなチップとして搭載されています。端末を利用するときは「プロファイル」と呼ばれるデータ(携帯電話情報)をダウンロードするだけなので、オンラインで回線の開通手続きができます。
なお、eSIMは欧米を中心に55カ国以上の国々で導入が進んでいます(総務省調べ、2021年2月26日時点)※2。日本ではまだ広く普及しているとはいえませんが、auやUQモバイルなどの通信会社でも提供されています。
- ※2 参考
eSIMの2つのメリット
そもそも「eSIM」という名前は、「SIMが埋め込まれている(Embedded)」ことと「遠隔操作が可能なSIM(eUICC SIM)」であることに由来しています。この2つは特徴であるとともに、メリットを表現するものにもなっています。
eSIMはSIMの機能が端末に内蔵されているため、物理的なSIMカードを差し替える必要がありません。オンラインで契約するだけで利用する通信事業会社を変更できるため、海外の渡航先でも簡単に通信事業会社を乗り換えられます。
また、eSIMは遠隔操作、つまり直接カード(実際にはICチップ)に触れることなく情報の書き換え(RSP)が可能です。これにより、スマホで利用したい通信事業会社を、SIMカードを差し替えることなく変更できます。
このような利便性を持っていることから、eSIMは今後の普及が期待されています。

向井さん
SIMカードを差し替えるときは、ケースの脱着や静電気対策に加えて、複数のカードを取り違えないようにしっかり見分ける必要もあり、なかなか面倒なものです。eSIMであれば、そのような手間はなくなります。
eSIMが海外旅行におススメの理由は?
eSIMのもつメリットは、海外旅行の際にも発揮されます。eSIMが海外旅行におススメの理由には、主に以下のようなものがあります。
- 現地でSIMカードを用意する必要がない
- SIMカードを失くす心配がない
- 1台のスマホで2つの回線を利用できる
それぞれの理由を以下で詳しく見ていきましょう。
現地でSIMカードを用意する必要がない
海外でスマホを利用する時は、プリペイド式のSIMカードを現地で購入し、SIMフリースマホに自分で挿入するのが一般的です。しかし、この方法ではSIMカードを入手したり、差し替えたりする手間がかかります。
一方、eSIMであれば、SIMカードを現地の販売店で受け取る必要がありません。現地の通信事業会社と契約し、eSIMのプロファイルを書き換えれば利用できます。帰国時にSIMカードを返却する必要もなく、手続きをスムーズに行えます。
SIMカードを失くす心配がない
eSIMはSIMカードを失くす心配がない点も大きなメリットです。先述のとおり、eSIMはSIMの機能が端末に内蔵されているため、SIMの入れ替え自体が不要です。
SIMカードを利用する端末の場合、金具などを使って端末からSIMカードを取り出し、入れ替える必要があります。SIMカードは年々小型化しており、紛失や破損のリスクも少なくありません。eSIMならそのような心配がなく、海外旅行の際にもより安心して利用できるでしょう。
1台のスマホで2つの回線を利用できる
1台の端末に2つのSIMを搭載することで、2つの回線を利用することを「デュアルSIM」と呼びます。近年、eSIMを利用してデュアルSIMを実現する機種が増えています。
例えば、「iPhone 13」の各シリーズでは、「eSIMを2つ」または「SIMカードを1枚、eSIMを1つ」組み合わせることで、1台の端末で2つの回線を利用可能です※3。
デュアルSIMを活用すれば、1台のスマホに複数のプロファイルをダウンロードすることで、複数の国に渡航する際も渡航先の国に合わせて回線を切り替えて利用できます。また、普段カードタイプのSIMを利用している方なら、日本ではカードタイプのSIMを、海外に渡航する際はeSIMを、といった便利な使い分けが可能です。
- ※3 参考

向井さん
eSIMはカードを扱う必要がなく、通信事業会社や回線の管理が簡単になるので、荷物の管理や時間に追われがちな海外旅行にも最適です。国際ローミングに対応する国内の通信事業会社で契約するのもいいでしょう。